UL(下)

 昨日は久しぶりのお店番でした。お知らせ欄にも書きましたが、お棚の中身を家出シリーズに全とっかえしてきました。このブログのULシリーズでご紹介した技の基礎となった知識が満載の本達です。ぜひご覧ください。 

 ところで、ですが凡夫が好んで読む、作家 ではなく文学紹介者 という肩書らしいのですが、頭木弘樹さんとおっしゃる方がいます。大学生のころに難病である潰瘍性大腸炎を患って以来、ご病気にかかわる著書を数多く世に出していらっしゃいます。

 凡夫はむかしからたいへんおなかが弱くて というか胃結腸反射がやたらと強いやつで、一日三食年中無休で食べたらすぐ出したくなります。しかも毎晩の大量飲酒者ですから、出てくるものは常にユルユルです。したがってトイレとのめぐり逢いを求めた彷徨は日常茶飯事おこなっています。これをできるだけ避けるために、以下に示す三原則をおのれに課してもいます。

 一つ、喫食は近傍に快適に用を足すことができる清潔なトイレが確保された場所で行うこと。

 一つ、食後30分は行動を慎み、便意の成長完了を待って確実に全量を処理すること。

 一つ、行動中に清潔なトイレに出会ったときには、必ず便意との対話を試みること。

 それでもたまに、特に2番目の項目に示した全量処理の判断が甘く、死の彷徨を繰り広げることが多々あります。ですので、市内の主要な個所では緊急立寄処マップも頭の中に出来上がっています。例えば八丁堀界隈だったらパルコ旧館の地下とか。三越とか福屋は、たどり着くまでに売り場フロアを歩いている際に「あ、あいつうんこしに来たで」と思われるのが嫌なので除外です。どうでもいいです。

 なんせこういう生活をもう何十年も続けているので、頭木さんの書くものは、まさに痛いほど、身に沁みてわかる(などというと難病でもないくせにおこがましいこと千万ですが)のです。

表紙見てるだけでもおなか痛くなってきます

 で、そんな腹の持ち主が家出した時はどうするんか?です。およそロングトレイルと呼ばれるような場所には「快適に用が足せる清潔なトイレ」なんかないからです。そうすると次に解決すべき課題は「快適に用が足せる清潔な野外排泄方法」の見極めであることがわかります。

 ごく一般的なハイキング時の排泄のお作法は、例えば信越トレイルのガイドブックに掲げられている方法がよく知られています。このプレースタイルがあえて推奨されるのは、大半のハイカーはそこら辺に紙をまき散らしていく クソハイカー だからです。

 ここでの問題は⑤の工程です。わたくしはたとえ自分のでも一度別れたはずのやつと行動を共にしたくはないのです。この時点でこの手法はわたくしにとっての「快適に用を足せる清潔な野外排泄方法」にはなれません。

 上記は登山の世界でもごく一般的な手法ですが、どの世界にも “原理主義者“ がいるもので、彼らは紙を使いません。ですので⑤の悩みからは解放されます。でもその代わりに “手でふきます“ 。なんならあえて「手でじかに触れることがいい」とまで言いやがります。 無理です。

 試行錯誤を重ねて凡夫が編み出したギミックがこちらです。

水なしで 152g

 上記③までは同じです。埋める前に左下のビニール手袋を装着し、右下の簡易ウォシュレットで水をかけながらこすり洗いします。素手で水無しにこすり取る原理主義者とは大違いです。こする時は人差し指を一本だけ伸ばして用います。むやみに手袋を汚すのはやめましょう。こする行為を伴うことによって水量は大幅に削減でき、余った水は当の手袋表面を洗い流すのに十分残ります。使い終わった手袋はジプロックバックにごみとして保管しますが、そこには一般野外排泄者のようにウンチがついた紙なんぞは存在しません。あたかも新品のごときビニール手袋がかさかさと乾いた音を立てるのです。手袋越しにでも不浄な個所にふれた指先は、アルコールジェルで徹底消毒で心も晴れやか。 この一連の流れを持って「快適に用が足せる清潔な野外排泄方法」の完成です。これを 凡夫メソッド と名付けます。

 ただしこれを繰り出す場所は慎重に。トレイル上でも水源から 200ft 以上離れた個所限定。米国のトレイルだとこの原則さえ守っていれば男女問わずあちこち用足ししているのが見えるのだそうです。恥ずかしがり屋のわたくしにはさらに草木で周囲の視界からさえぎられている場所という条件が必要で、そうなると日本のトレイルではたいていすっごい傾斜地に限られたりして、重力に耐えてしゃがんでいるだけでプルプルになったりもするわけです。道は深い。

 今年はなんだかんだで一度も凡夫メソッドを繰り出す機会がありませんでした。来年こそはどっかでしてやる と固く心に誓います。 

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